15.ブリュッセル旧市街
The old city area of Bruxelles メトロでパルク(Parc)まで戻り、ロイヤル通り(rue Royale)歩いてロイヤル広場(place Royale)まで行ってみよう。近くに王立美術館がある。ここは近世から現代絵画までカヴァーしているコレクションが素晴しい。ピーター・ブリューゲル、ルーベンス、からクノップフ、デルボー、マグリットまで楽しめる。さてこの広場から芸術の丘(Mont des Arts)への道モンターニュ・ドゥ・ラ・クール通り(Montagne de La Cour)に鉄とガラスのエレガントな建物が建っている。ポール・サントノイの作品(124 Old England / Paul Saintenoy)だ。かってはは百貨店「オールド・イングランド」であったが、改修され近く楽器博物館として公開される予定だ(2002年現在開館済み)。この建物の横の細い道を入ると、左側に同じポール・サントノイが設計したオールド・イングランドのアネックス(125 Annex de Old England / Paul Saintenoy)がある。スチール製の柱頭飾りのついた柱が面白い。とくに1階荷捌き入り口の大梁を支えるドリス式の様などっしりした太めの柱が素晴しい。
グラン・プラース周辺に散在するアール・ヌーヴォー建築を見てみよう。グラン・プラースはいつも観光客や地元の人達でいっぱいだ。午前中は毎日、花の市が開かれている。市庁舎で結婚式を挙げたカップルが記念写真を撮っている。公共建築をこの様なかたちで生活の中で使用している彼等が羨ましい。私達日本人も区役所や都庁舎で結婚式を挙げる様な生活様式を持つべきだ。その様な生活様式の中でこそ本当に建築を愛する気持ちが育まれる。一般の人達がその建築が好きなのか嫌いなのか、はっきり意識できる様になった時、建築は文化になることが出来るのでは無いだろうか。
さて、その市庁舎の隣の「星の館」のピロティ部分に、オルタがデザインしたシャルル・ブルに捧げられた記念碑(126 monument a C. Buls / Victor Horta)がある。彫刻家ヴィクトール・ルゾーとの共作だ。
ポアンソン・レテュヴ通り(rue de Poincon L`Etuve)をそのまま進む。ロンバール通り(rue du Lombard)との交差点まで来ると左角にポール・ヴィサヴォナの店舗(127 Commerce et habitation / Paul Vizzavona)がある。1、2階が店舗で上の階はアパルトマンになっている。エペロニエ通り(rue Eperonnier)のE.プリズネールの作品(128 Secretariat Social Feminin / Edouard Pelseneer)も見てみよう。あの「ふくろうの家」の建築家だ。少し離れているがフィリップ・ドゥ・シャンパーニュ通り(rue Philippe de Champagne)に同じヴァイサヴォナの旧ベルギー中央薬局(129 Pharmacie Central de Belgique / paul Vizzavona)がある。J.ヴァン・アルの店舗(130 Commerce et Habitation / J. Van Hall)、P.アメスの店舗(131 Commerce et habitation / Paul Hamesse)等を見ながらアンスパック大通りへ出る。証券取引所の方へ歩いて行くと、通りの向こう側にパラペットに鶏が乗っている建物(132 Cinema Pathe-Palace / Paul Hamesse)がある。ガイドマップにはAncien cinema Pathe-Palaceとある。映画館「悲劇の館」とでも訳せばいいのだろうか。でもなぜ鶏なのだろうか。
アンスパック通り(boulebard Anspach)を渡り、オーギュスト・オーツ通り(rue Auguste Orts)を少し進むと右側にペール・グリーンに塗られたアーケード(133 Marquise en fer forge / *****)がある。20、22番地の一画だけが保存されている。スチールとガラスのアーケードだ。引き返す途中、何箇所か部分的に残っている半ば壊れたアーケードを良く見ると、外れた幕板の隙間からアール・ヌーヴォー・カーヴのスチール・フレームが見える。当時は街全体の歩道がこのようなアーケードで覆われていたのだろうか。
アンスパック通りを北上しヌーヴ通り(rue Neuve)を目指す。途中、O.フランソワとP.リブモンのグラン・メゾン・デュ・ブラン(134 Grande Maison du Blanc / O. Francois et P. Livemont)と、その向かいのF.ルフェヴェールの店舗兼住宅(135 Commerce et Habitation / F. Lefever)を見て、ヌーヴ通り(rue Neuve)を北上する。ヌーヴ通りは日本で言えば銀座通りに当たるだろうか。しばしそぞろ歩きしながらウインドウショッピングを楽しんだら、横道にそれてマンガ博物館へ行ってみよう。これはもちろんオルタの旧ウォック百貨店(136 magasins Waucquez / Victor Horta)だ。今は修復工事も完了しマンガ博物館として公開されている。エントランスを入るとストリートランプの形の照明を中心にホールとなっており、上部は吹き抜けとなっている。吹き抜けの天井はトップライトの大きな光天井で、内部はとても明るい。手摺や梁、柱など鉄骨の表しとなっており、そのディテールが素晴らしい。鋳鉄で作られた柱頭のディテールなど夢中でカメラにおさめる。ファサードを撮ろうと外に出ると、また雨だ。ホールで雨の止むのを待つ。
そこでは中学生と思しき集団が、美術の校外学習の授業なのか、写生をしている。そのうちの1人の女の子が私に近づいて来て「ムッシュー、鉛筆持ってません?」と聞く。ステッドラーのホルダーを貸してやる。しばし仲間の中に戻ってデッサンをして、再び戻って来て、私が持っているカメラを指差して「写真を撮ってるの?」と聞く。「君達はデッサンの勉強をしているのかな?」と私が聞くと、卒業したらデザインの勉強をしてインテリア・デザイナーになりたいのだと言う。「この建物を設計したヴィクトール・オルタは知ってるかな?」と私が聞くと、「もちろん学校で教わるもの。」という答えが返って来た。そして彼女は再び友達の所へ戻ってストリートランプのデッサンを始めた。
ブリュッセルのアール・ヌーヴォー巡礼も今日が最後だ。今夜はどこかしゃれたフレンチレストランでも探して、ゆっくりワインを飲みながらブリュッセルのアール・ヌーヴォー建築を思い返してみよう、等と考えながら雨上がりのホテルへの道を急いだ。明日はアントワープだ。![]()
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