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4. アントワーヌ・デルポルト広場界隈

The neighborhood of place Antoine Delporte


place Antoine Delporte

 ワーテルロー通りを南下し、バリエール・ドゥ・バレール(Barriee de Bareel)交差点に出てアルセンベルグ通り(chausse d'Alsemberg)に入り、別荘通り(avenue des Villas)を右に入る。聖アレヌ教会(St. Alene)の前を右折するとクメル山通り(avenue du Mont Kemmel)だ。右側は、木々がうっそうと生い茂るフォーレト・パークである。
 しばらく坂を上るとネリセンの
住宅(021 Habitation et atelier / Arther Nelissen)が見えて来る。ブルーグレーの外壁が2階部分で円形に刳り貫かれてバルコニーとなっている。かなりデザイン的濃度は濃いが、アルフォンス・ミューシャのイラストのように曲線は固まってしまって、流れない。窓やバルコニーの手摺金物を見てもそうだ。でもしっかりデザインされているので、十分楽しめるだろう。左側の住宅もアール・ヌーヴォー調だが作者データなど不明である。
 ネリセンを十分堪能したら坂をさらに上り、アルベ−ル通り(avunue Albert)からローデンバッハ通り(rue Rodenbach)に入ると、すぐ通りの両側に、オレンジとブラウンのゼブラ模様の塔が立ち並ぶ集合住宅が見える。アンリ・ジャコブの
市営集合住宅(022Logements sociaux de la cite /Henri Jacobs)だ。先ほど塔が乱立している様に見えたのは階段室だ。1階部分はエントランスになっていてコーナー部にブルーストーンが使われている。靴の泥落としを兼ねた雨水排水孔等、観察してみよう。
 道をかえし、再びアルベール通りに出て、ユージヌ・ヴェルエゲン通り(rue Eug.Verheggen)に入る。右に折れると,かなり大きな中世のお城の様な建物が建っている。サンジル刑務所だ。日本の,あのアヴァンギャルドピアニストの祖父が設計したとして、一時話題となった鹿児島刑務所も真っ青なぐいらい中世城塞然とした刑務所だ。
 さて、この刑務所の前の広場がアントワーヌ・デルポルト広場(place Antoine Delporte)である。この界隈に16棟ほどのアール・ヌーヴォ建築が残っている。まずはポール・アメスの
住宅(023 Habitation / Paul Hamesse)から見てみよう。エントランスと階段室が搭状になっていて、各階の踊り場に設けられた窓の形状が面白い。特に最上階の形状は要石と一体となったパラペトが角の様に突き出し、日本のロボットアニメのキャラクターの様な形をしていて、思わず笑ってしまう。エントランスドアの取手金物にも注意してみよう。郵便受と一体となったデザインはなかなか凝っている。
 毎週土曜日行われるARAUアール・ヌーヴォ・ツアーのコースにもなっているレストラン「ドゥ・ウルティエ−ム・アルシナティエ(De Ultieme Hallucinatie)」(070)のインテリアも彼のデザインだが,換気口や暖炉の火の粉よけ金物などにこのドア金物と共通の,オルブリッヒやマッキントッシュに影響を受けたポール・アメスのデザイン・ヴォキャブラリーを見ることができる。
 ジェフ・ランボ−通り(rue Jef Lambeaux)とアントワーヌ・ブレ通り(rue Antoine Breart)の交差点に
白い大きな邸宅(024 Habitation / Paul Hamesse)が建っている。これもポール・アメスの作品だ。ヨーロッパの市街地の住宅はどれもそうだが、まず道路が作られる。土地の有効活用を考えると、敷地は間口をなるべく狭く区画される。それに住宅を貼り付ける。所謂ウナギの寝床の様な形状となる。建物は道路に接して建てられ、裏の空地が庭となる。敷地の方位とは関係なく、この方式で建物は建てられる。そうすると角の建物はどうなるか、と言うと、このポール・アメスの住宅の様に、メインの道路ではない側に、その建物の断面形状が見えて来る事になる。この住宅の場合、アントワ−ヌ・ブレ通り側の1階の屋上をテラスとしている。良く見るとかなり手のこんだ装飾を各所に施している。タンパン状の円形パラペット、コーニス(蛇腹)等に施されたレリーフやフレスコ画を、出来たら200@以上の望遠レンズで狙いたい。
 アントワ−ヌ・ブレ通りをさらに入っていくと、3棟のアール・ヌーヴォー建築がある。101番地の小じんまりした、白施釉レンガのファサードの
建物(025 Habitation / Paul Vizzavona)がポール・ヴィザヴォナの作品だ。エントランス・ドアー及びその上部の大形ファンライト(ドアーなどの欄間の部分の明かり窓)のステンド・グラスや窓桟、バルコニー手摺などの曲線が素敵だ。
 ジェフ・ランボー通りに戻り、坂を下ると2棟のアールヌヴォー建築が見える。どちらもジョルジュ・ピアブーンの設計によるものだ。
 手前の12番地の
住宅(027 Habitation / Georges Peerboom)は凄い。エントランス・ドアー廻りのレリーフや窓桟など本格的なアール・ヌーヴォーのデザインだ。バルコニーが何と言っても素晴らしい。外壁から生え出した様な植物の茎に支えられた床、外壁がめくれ上がった様な手摺の立ち上がり等、石材ならではのディテールだ。やはりアール・ヌーヴォー建築はファサードが石造の物が流れるようなヴォリュームが表現出来るので有利だ。さらに8番地に下る。赤レンガの建物(026 Habitation / Georges Peerboom)をてみよう。窓桟などシンプルだが、1階窓台下レリーフのスナップのきいた曲線が素晴らしい。コーニス(蛇腹)部に目を移すと、何やら手足の長いクモの様な形のモザイク模様が見える。あの模様は一体何なんだろう。フレミッシュ・ルネサンス・スタイルの建築にコーニスの下部に複雑な模様のフレスコ画を描き入れているのを良く見かけるが、これはその変型だろうか。
 アール・ヌーヴォーらしいアール・ヌーヴォー建築に満足して、坂を下りサヴォア通り(rue de Savoie)に出る。この通りに4棟の
アール・ヌーヴォー建築(028 Habitation / Paul Vizzavona) (029 Habitation / ****) (030) (031)が残っている。52番地がポール・ヴィザヴォナの作品(028)、その他のの物はデータがない。42番地のブルーの施釉レンガの住宅(029)が面白い。
 サヴォア通りからヴァン・ミーネン広場(place E.Van Meenen)に出ると広場に面してポール・ヴィザヴォナの
集合住宅(032 Apartements / Paul Vizzavona)が建っている。この様なアパルトマン形式の物はブリュッセルでは珍しい。広場の向かいに2棟のアール・ヌーヴォ建築(33)(34)が並んで建っている。右側のアドルフ・ドゥメール大通り51番地(avenue Adolph Demeur)がカミーユ・ダマンの作品(033 Commerce et Habitation / Camille Damman)だ。隣の建物(034 Habitation / ****)はデータがない。